古くから愛される金属達
About Usでも記載しているように愛芽は装飾に適している地金、銀(シルバー)、金(ゴールド)、オーダー希望がある時のみ、プラチナ、真鍮を用いて制作します。
メッキコーティングやK14gf(ゴールドフィルド)の素材は使用せず、古くから愛されている地金そのものを使い、創作しています。中でも銀は愛芽が好きな地金の一つでもあります。(金属アレルギーのお客様のみチタンコーティングのピアス金具を使用)メッキコーティングやK14gf(ゴールドフィルド)の素材は低価格で購入しやすいく、ここ数年ではチタンコーティングやK14gfなど新しい素材のアクセサリーも人気です。
シルバーやゴールドはただ高いというイメージがより根付き始めているようにも思いますが、食品もオーガニックが身体にいいのと同じで、古くから愛されている銀は身に着ける地金としてオーガニックと呼べるのではないかと愛芽は思います。
今回は古くから愛されている最も代表的な金属、銀(シルバー)、金(ゴールド)、プラチナ(白銀)の特徴や意味を知って頂き、地金が持つ良さや装飾選びの参考にもして頂けたら幸いです。
銀(シルバー)
●Silver(SV)925,950の表記
銀は地金の中でも柔らかい金属なので純銀はアクセサリーには向きませんが、愛される地金。アクセサリーに使用できるようにするため、銅やアルミニウムを混ぜて地金を硬くしたものを使います。それがSV925,SV950です。シルバーアクセサリーには925、950の刻印をする事で銀の割合を表しています。一般的には925の製品が多く、銀の純度が少し高め950は金属アレルギーの方やシルバー好きな方に人気です。金属アレルギーの反応は人ぞれぞれなので、950でもアレルギーにが出てしまう人もいます。
ここでよくSilverとしか刻印していない商品がありますが、銀メッキされている製品にもSilverの刻印はされている為、この刻印がされているから銀という判断はできません。さらに銀は銀でも純度が解らない為、持ち込んみで加工のオーダーや修理に責任が持てなくなります。又、この刻印がされているもの全て銀製品だと思い込んでいる方が多く、きちんとしたシルバー店では925、950の刻印がされており、安心して本物と判断できると言えます。勿論、愛芽も925、950の刻印をしています。最近は925や950製品をスターリングシルバーと呼ぶようになってその区別をつけていますが、購入の際は必ず、説明表記や刻印をきちんと確認するのが良いと思います。
●銀はアレルギーになりにくい金属
ご来店されるお客様でもよく間違えていらっしゃるのが、銀はアレルギーになりやすいという知識。銀は金よりもアレルギーになりにくい金属とされています。銀イオンなどと言われるように、銀は抗菌に優れています。その為、口に入れても安全な金属だからこそ中世ヨーロッパでは金よりも高価な金属とし扱われてきました。更に薬物に反応して変色する為、当時のヨーロッパの貴族は銀食器によって毒殺から身を守っていました。銀には、肌に直接に触れるアクセサリー素材として、他の金属にはない利点、つまり食器や医療器具、浄水器、公衆浴場の殺菌剤などに活用されていることからも分かるように、銀はバクテリアの繁殖を抑える殺菌力を持った不思議な金属なのです。単に変色を嫌がる人もいますが、愛芽はこの変色はとても素晴らしいものだと思っています。変色する事で独特のアンティークな風合いが出るのはこのシルバーだけだからです。
●さみしがりやな金属
銀は不思議にも身に着けていると変色しにくく、暫く外して放っておくと一気に変色してしまう事から、寂しがりやな金属と言われています。原因としては一緒に石鹸で身体を洗ったりすることで、付着していた汗などの汚れが一緒に落ちて清潔に保たれている事も理由に挙げられると思いますが、そう呼ばれる銀は人間味があってとても愛らしく感じ、大切にしようと思えませんか🌱
●銀の黒ずみは酸化ではなく主に硫化
銀はよく酸化するといいますが、そうではなく主に硫化と塩化反応して黒く変色します。
温泉や自動車の排気ガスや工場から排出されるガスには亜硫酸ガスが含まれており、この硫黄分にシルバーが硫化反応して茶色/黒に変色します。硫化銀の皮膜の厚さによって、黄色、次に茶褐色に変わり、更に皮膜が厚くなると黒色になります。
水仕事で漂白剤を使った際にシルバー製品にそれが付着すると、真っ黒になりますが、これは塩化反応です。漂白剤に含まれる塩素と銀が反応して茶色/黒に変色します。塩化銀は光にあたると黒化が進む性質を持っていて、フィルムカメラを銀塩カメラと呼ぶのは、この塩化銀の特性を光剤に用いた事に由来しているそうです。汗を沢山かいた後もそうですが、特に日焼け止めクリームやファンデーションと一緒に落ちた汗の方が銀に付着しやすいので、変色しやすいのはこの為かなと思います。
●お手入れ
上記から、とにかく清潔にしていれば銀は変色しにくいのです。お洗濯と一緒で身に着けた後、石鹸(中性洗剤)で洗ってあげると変色しにくく、綺麗な状態で使用できます。変色してしまった際は愛芽でお買い上げの際にお付けしている、研磨剤がついている磨き布で磨いて頂き、ティッシュでふき取って頂くと綺麗になります。溝部分の黒ずみを取りたい際や、磨いても落ちない場合は愛芽でメンテナンス可能ですので、お気軽にお持ちくださいませ。
艶消し加工されている物に関しては、クリーニング液(複数お買い上げの際は無料でお付けしています)に数秒着けて水洗いして頂くか、初回無料でメンテナンスさせて頂きます。
しばらく使わない際は綺麗に洗ってから、空気に触れないようティッシュやハンカチ等に包んで箱に入れてしまっておくか、愛芽でお買い上げの際、お付けしているポチ袋へ入れて頂くと安心です。
又、上手にお手入れしていくと変色している部分とそうでない部分の濃淡がついてレザーのように、良い風合いになります。シルバーアクセサリーが好きな方はそうして楽しんでいる方が多く、すぐにクリーニングを好む方もいますが、長く愛用していくと元の状態を保つのは困難になっていきます。定期的にメンテナンスしつつ愛着を持って自分だけのアンティークな風合いを目指すのもシルバー特有の醍醐味かなと愛芽は思います。是非自然な燻しを楽しんで頂けたらと思います。
●銀の贈り物
古代エジプトの人たちは”神々の骨は銀で出来ている”と考えていたそうです。
ギリシャ神話でも銀に関する神話があるほど銀は世界中で様々な言い伝えがあり、共通しているのが魔除けや幸福を願うお守りとして使われていることです。
もともとアクセサリーなど装身具の起源は、人類が次元外敵などから身を守るために魔力があるとされるものを身につけたのが始まりとされていますが、上記でも記載した科学的にも証明されている抗菌効果もある不思議な金属という意味から、銀は古来より「人を災いから守る」魔除け効果があるとされてきたのかなと思います。そうして魔除けや幸運のシンボルとされ、西洋では赤ちゃんにプレゼントする銀のスプーン、中国では銀のお箸 、結婚指輪等、今でも世界中で幸せを願う贈り物に用いられ愛されています。
大切な人へ銀の贈り物は意味や想いが込められとてもお勧めです。
金(ゴールド)
●K10,K18、K24の表記、刻印
金の純度の単位は、宝石と同じでカラットです。99.9%以上のの純度の金は24金。「K24」と書きます。灼熱の太陽のように、鮮やかな金色。日本で一番見かける18金は、24分の18だけ金を含んでいるという意味になり、75%金が含まれています。次に人気の K10は約42%となります。 金も銀と同様に、強度や硬度を与えるために他の金属を混ぜ合わせます。
それを「割金(わりがね)」と呼び、銀で割れば青みがかった金に、銅の割合が多くなれば赤みの強い金になります。 普通、18金はイエローゴールド。75%が純金で、残りの25%のうち銀と銅がそれぞれ12.5%を占めています。緑がかったグリーンゴールドは、銀が25%。反対に銅だけ25%だとレッド・ゴールドになります。ここに少しの銀とニッケルを加えると、最近、人気のピンクゴールドになります。残りの25%を銀やパラジウムなどの6~7種類の白い金属で精製すると、ホワイト・ゴールドです。プラチナと同じ銀白色です。かわったところでは、黒味がかったブラック・ゴールドや、柔らかな金茶色のベージュ・ゴールドなどもあります。
こちらも刻印がとても重要なのですが、シルバー同様過去に承った修理品にはメッキコーティングしてあってもK18やK10と打っている刻印がありますので、シルバーよりも厄介であり、高額で販売しているものなので悪質だなと思ってしまいます。火をあててみたり、磨いてみるしかないので、なるべく保証書付のものや、ちゃんとしたブランド、製品が安心と言えます。愛芽も必ずお付けしています。
●地中の太陽
金は、ラテン語で「朝の光の色」を意味します。あよそ6000年前、人類が金の精錬技術を手に入れて以来、金は最も愛される貴金属となりました。太陽の金属。「地中の太陽」といわれ、地球をめぐる太陽が金の光を地中に閉じ込めたのが、金脈だといわれていて、古代都市国家ウルの王様には、シュメール文明の華麗な夢が眠っており、装身具を初め、おびただしい数の飾り物、戦車などの武具、楽器などにはそれぞれ素晴らしい金の細工が施され、王妃シュバトは金、銀、ラピスラズリ、多彩なメノウのビーズで飾り尽くされて、さながら宝石の衣をまとうようであったということです。マルコポーロやコロンブスなど冒険家は黄金を求め、大航海に乗り出しては、歴史を塗り替えていきました。イタリアでは、年に一度のベネチアの大祭で、金箔に覆われたガレー船をくり出したと言われます。この船は皇帝ナポレオンに焼かれ、残った金はフランスに持っていかれたとされています。紀元前一世紀、後漢の光武帝が倭国の使者に金印を贈ったのが、日本史に登場した最初の金だという事です。
金には、昔から世界各地で言い伝えや、寓話も寓話も多く、イソップ寓話の「王様の耳はロバの耳」で有名なミダス王は、太陽神アポロンによって、触るものが何でも金になるという、地獄の幸せを与えられ、結果、自分の娘に触ったとたん娘は金に変わってしまいました。それほどまでに、金には人々を熱狂の渦に巻き込む危険な魔力が潜んでいるようです。
●お手入れ
基本的にゴールドは変色する事はありませんが、 一般的にK10ピンクゴールドは変色銀の量がやや多いので変色すると言われています。ただ、自身でも2,3か月ピンクゴールドの指輪を着けっぱなしにしていますが、全く変色の気配はありませんので、シルバーよりも変色はしにくく、さほど変色を気にする必要はないと思います。
こちらも愛芽では金用の磨き布をお付けしていますの、少しくすんだという場合は同じように磨いて頂き、ティッシュ等で研磨剤をふき取って頂くと良いと思います。
こちらもSVよりは硬いですが、金の中では、純度が高い程柔らかいので、一番傷がつきにくいのはK10です。
お手入れが心配な方は愛芽に持ってきていただければ状態に合わせてメンテナンスさせて頂きます。 ●金はアレルギーになりにくい?
ゴールドはシルバーよりもアレルギーを起こしやすいと言われています。人によって、反応する金属が異なり、銀アレルギーがある方はゴールドは大丈夫という方が多く、K24,K18がお勧めです。K10は含まれる銀の量も多くなりますのでアレルギーの方にはあまり適していません。
「月/太陽」と「銀/金」の関係
地球には、陰と陽が存在し、男と女、プラスとマイナスなどこの2つが存在し、そこに加えた物質からなる3次元でこの世が成り立っているとされています。
太陽と月もその1つ。
風水的な色味に置き換えると太陽は、強いパワーを持っている"金"、そして、月が"銀色"にあたり、銀は美しい白い光沢を放つことから、錬金術や占星術などの神秘主義哲学では月と関連づけられていて、そのことからも銀のお守りは悪霊や魔術を防ぐとされていました。
古来、銀は男性、金は女性を意味していたが、ある時を境に位置が逆転して銀が女性で月を、金は、男性で太陽を象徴するものとなったと言われています。
その為、月の光は銀(魂)を浄化する神聖な金属と言われていたそうです。 更に風水で銀色は、才能を開花してくれるという意味を持ちます。
そして、ゴールド(金)は暗闇の中でも輝きを放ち、唯一無二の物として富の象徴として、古来より人々を魅了してきました。ゴールドが持つパワーは、自分を照らして周りを動かす「太陽」のような力。自身を高みに上げ、成長を促すエネルギーを持つパワーです。また、物質的な豊かさも司ります。ゴールドのエネルギーは、持ち主の運気を豊かにするように動かします。恋愛であれば充実度が高まりますし、何よりも自ら行動しようという気持ちになります。金運であれば豊かさを引き寄せます。積極性を養い、環境を豊かにし、富と幸運を引き寄せる。そんなエネルギッシュなパワーを持つのがゴールドです。
どの要素も人の中にあるものだと感じる愛芽。最近K14gfが人気なのはこうしたゴールドというカラーにそうしたポジティブなエネルギーを感じるからかもしれません。逆を言えばネガティブな世の中だからこそゴールドが人気なのかもしれません。
金と銀、どちらもバランスよく身に着けるとその効果を期待できるかもしれません。
プラチナ(白金)
●Pt950,900の表記、刻印
プラチナとは白い光沢が美しく、別名『白金』と呼び、”金”と名がついていますがホワイトゴールドとは全く別物です。「Pt」はプラチナの元素記号です。かつてはPmと表記することもありましたが、他の金属の元素記号となったため現在はPtを使用しています。 プラチナジュエリーは美しい銀白色をしているのが特徴です。ゴールドやシルバーよりも固く変色・変質しにくい金属です。プラチナも軟らかい性質があるため、ジュエリーに使用する際には他の金属を混ぜて硬度を高めることが必要になります。混ぜる金属は「割り金」と呼ばれ、プラチナの割り金にはパラジウムやルテニウムを使うことが多いです。Pt900なら全体の90%、Pt950なら全体の95%にプラチナが使われていることを意味します。国際的な宝石貴金属業界の情報交換を行う国際貴金属宝飾品連盟(CIBJO)は、プラチナの標準品位をPt850以上と定めています。
そんなプラチナには、混じり気が少なく純白の輝きを持つことから、純粋な愛の証として婚約・結婚指輪にピッタリだとも言われています。純粋な白なので、輝きに深みと強さがあり身につけたとき、この上ない美しさを放ってくれるとか。ただ愛芽は個人的にはシルバー(銀)の方が柔らかな色で白銀と呼ばれるにふさわしいのではないかと思っています。プラチナはシルバーに比べ青みが強い、もしくは銀の色が濃いとでもいうのでしょうか、とにかくシルバーより深い銀色でメタリックな色は、純潔、潔癖を意味し、ダイヤモンドを美しく見せる清楚な輝きも放ちます。また飛びぬけて融点が高いため、熱に強く、変色せず、王水と熟アルカリ液にしか溶けないその性質が、「壊れにくい」とか「いつまでも変わらない」という意味合いになり、縁起がいいので、永遠の愛の象徴として婚約指輪や結婚指輪にふさわしいと言われています。
●モダンな金属
現存する最古のプラチナ製品は、紀元前700年頃に作られた古代エジプト第25王朝のテーベ王の娘の墓から発見され、南米でも紀元前からプラチナの装身異が作られており、現在それらは博物館に数多く収蔵され、古代文明がプラチナの加工技術を持っていたことを証明しています。18世紀前半、南米コロンビアのピント川で、スペインの若き将校が、この金属を発見。「プラチナ・デル・ピント」(ピント川の小粒の銀)と本国に報告し、そこから「プラチナ」と名づけられました。その後、融点1769度、比重21.4.未曾有の強固さを持つこの謎の貴金属に挑んだのは、スペイン王カルロス3世でした。ヒ素を駆使してプラチナを加工し、まばゆく輝く聖杯を作り上げました。
そして19世紀末、プラチナの美しさが本格的に認められるきっかけを作ったのがジュエリー界の巨星といわれるルイ・カルティ。「プラチナは 貴金属の王者だ」と宣言し、金、銀を抜きより高価な貴金属にとして扱われてるようになりました。
20世紀初頭は、ジュエリー・デザインの革命の時でもあり、プラチナの時代と言われ、その粘り強さの特性から、加工のしやすさや、ほんの小さな爪できっちり石を抱えこむことができるので、石を目立たせることができたとか新しい方法で、石はその輝きを増し、またプラチナの伸びのよさから、デザインを自由奔放に選ぶことができたそう。
20世紀に入ると、シンプルなファッションと、スピード感にあふれた活動的なライフスタイルに合わせて、直線的で幾何学的なデザインのジュエリーが流行します。「アール・デコ」と呼ばれるこの装飾様式を、プラチナのシャープな輝きが引き立てます。一般大衆の娯楽となった映画でスターがつけるジュエリーは、モノクロ画面でいっそう目立ち、プラチナ人気をあおりました。このように、大昔から、王や貴族たちを惹きつけてきたプラチナ。その奥の深い表現力と輝きは、本物と粋を知る人たちによって認められ、今も愛されつづけています。
古くから愛されている3つの金属。皆さんはどの金属がお好きでしょうか?
愛芽はやはりシルバーとゴールドに魅力を感じてしまいます。
資源を大切にすること
最後に、使い捨てのメッキ製品やプラスチック、新素材とは異なり、これらどの金属も溶かして何度も加工が可能です。削った時出る、粉も全て保管しています。金属も大切な資源です。修理も可能だからこそアンティークとして長く愛用できる装飾品です。現代までずっと愛されているのには必ず意味があります。
エコや地球環境に関心がある方は、是非、装飾においてもやはりこうした金属(素材)や特性も気にしてみながら選んでみてはいかがでしょうか。
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